がんリハビリテーションとは
我が国のがん患者数は増加が続き、将来的に2人に1人ががんに罹患すると予想されています。また、医療技術の発展によりがんの5年生存率においても改善が続いています。
そのため、がんは人生の終わりではなく共存するという考え方に変化してきており、がん患者の日常生活活動(ADL)および生活の質(QOL)を維持・向上するためにがんリハビリテーションが注目されてきています。欧米では早く1970年頃からリハビリテーションをがん治療の重要な一分野として位置付けています。
このような時代背景の元で当院においても厚生労働省後援の「がんリハビリテーション研修」を修了した医師、看護師、理学療法士がおり2014年に施設基準を取得して以降、治療実績を重ねております。
がんリハビリテーションは、がん医療全般の知識が必要とされると同時に、様々な機能障害の専門的知識や技術が必要であり、ADLやQOLの改善を目的とし、がん治療の進歩とともにリハビリテーションの介入を行う必要性は今後さらに増えていくと思われます。
実際にはどういうことをするのでしょうか?

がんの進行や治療によって身体的・心理的な様々な機能障害が生じます。
主なものとして、筋力・体力の低下や手足の麻痺、痛みやしびれ、歩行困難、呼吸困難、倦怠感、飲み込み・発声障害、むくみ、骨折、不安などが挙げられ、これらにともなって日常の生活が制限されてしまいます。
それらの問題を抱える患者に対し当院の様々な職種がチームとなり患者のニーズに合った治療を展開していきます。
リハビリテーションの内容は病期(ステージ)により以下のように分けられます。

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予防的
がん発見
がんと診断されてから早期に開始。機能障害の防止を目的とします。
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回復的
治療開始
機能障害や筋力、体力の低下がある患者に対し、最大限の機能回復を図ります。
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維持的
再発・転移
がんが増大し機能障害が進行しつつある患者に対し、運動能力の維持・改善を試みます。
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緩和的
末期がん、積極的治療を受けられなくなったとき
患者の要望を尊重しながら、身体的・精神的・社会的にもQOLの高い生活が送れるように援助します。
維持期・緩和期の患者も多く入院されております
当院では維持期、緩和期の患者も多く入院されております。
そのため、がん患者の予後は限られている場合もあります。
そのため早期から関係職種がカンファレンスを行い、生命予後を考えながら患者とその家族の要望を十分に理解したうえで、できる限りの日常生活活動(ADL)を維持できるようサポートしQOL(生活の質)の向上をはかっていきます。
また、必要な福祉用具やサービスの検討を行い、外泊や退院が実現できるようチームが一丸となってサポートしていきます。

