柏友会病院
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食中毒について
■ 食中毒の季節です

食中毒は7月から増加の一途をたどり、10月でピークとなります。
特に、増加するのはサルモネラ、ビブリオ、キャンピロバクター、病原性大腸菌による食中毒です。

■ 食中毒の予防

ポイント 1 食品の購入

肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
表示のある食品は、消費期限などを確認し、購入しましょう。
購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール
袋などにそれぞれ分けて包み、持ち帰りましょう。
特に、生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な
食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら寄り道せず、まっ
すぐ持ち帰るようにしましょう。

ポイント 2 家庭での保存

冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷
凍庫に入れましょう。
冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。めやすは、7割
程度です。
冷蔵庫は10度C以下、冷凍庫は、ー15度C以下に維持すること
がめやすです。
温度計を使って温度を計ると、より庫内温度の管理が正確にな
ります。
細菌の多くは、10度Cでは増殖がゆっくりとなり、ー15度Cで
は増殖が停止しています。しかし、細菌が死ぬわけではありませ
ん。早めに使いきるようにしましょう。
肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫の中の他の食
品に肉汁など がかからないようにしましょう。
肉、魚、卵などを取り扱う時は、取り扱う前と後に必ず手指を
洗いましょう。
せっけんを使い洗った後、流水で十分に洗い流すことが大切で
す。
簡単なことですが、細菌汚染を防ぐ良い方法です。
食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しまし
ょう。また、直接床に置いたりしてはいけません。

ポイント 3 下準備

台所を見渡してみましょう。
ゴミは捨ててありますか? タオルやふきんは清潔なものと交換し
てありますか? せっけんは用意してありますか? 調理台の上は
かたづけて広く使えるようになっていますか? もう一度、チェ
ックをしましょう。
井戸水を使用している家庭では、水質に十分注意してください。
手を洗いましょう。
生の肉、魚、卵を取り扱った後には、また、手を洗いましょう。
途中で動物 に触ったり、トイレに行ったり、おむつを交換し
たり、鼻をかんだりした後 の手洗いも大切です。
肉や魚などの汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理の済んだ
食品にかからないようにしましょう。
生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜
など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。
洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々にそろえて、使い分ける
とさらに安全です。
ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう。
冷凍食品など凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのは
やめましょう。室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります。
解凍は冷蔵庫の中や電子レンジで行いましょう。また、水を使って解
凍する場合には、気密性の容器に入れ、流水を使います。
料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。
解凍した食品をやっぱり使わないからといって、冷凍や解凍を繰り
返すのは危険です。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりす
る場合もあります。
包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後
すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい
時には、清潔なものと交換しましょう。漂白剤に1晩つけ込むと消
毒効果があります。
包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒
効果があります。たわしやスポンジは、煮沸すればなお確かです。

ポイント 4 調理

調理を始める前にもう一度、台所を見渡してみましょう。
下準備で台所がよごれていませんか? タオルやふきんは乾いて清潔なものと交換しましょう。そして、手を洗いましょう。
加熱して調理する食品は十分に加熱しましょう。
加熱を十分に行うことで、もし、食中毒菌がいたとしても殺すことができます。めやすは、中心部の温度が75度Cで1分間以上加熱することです。
料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。
再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。

ポイント 5 食事

食卓に付く前に手を洗いましょう。
清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。
温かく食べる料理は常に温かく、冷やして食べる料理は常に冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65度C以上、冷やして食べる料理は10度C以下です。
調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。
例えば、O157は室温でも15〜20分で2倍に増えます。

ポイント 6 残った食品

残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
残った食品はきれいな器具、皿を使って保存しましょう。
残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。
残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75度C以上です。
味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。
ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう。

食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、殺す」です。
「6つのポイント」はこの三原則から成っています。
これらのポイントをきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう。
食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。

それでも、もし、お腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ちが悪くなった りしたら、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。


このパンフレットは米国農務省食品安全検査局が作成した「Food Safety in Kitchen: a "HACCP" Approach」を参考に、食品衛生に関する各分野の専門の 先生方により作成されたものの抜粋です。

参 考

「家庭用マニュアル」を作成された専門家
青山 ユキ 青森県食生活改善推進員連絡協議会会長
伊藤 拓 国立小児病院副院長
熊谷 進 国立予防衛生研究所食品衛生微生物部長
小池麒一郎 日本医師会常任理事
城 宏輔 埼玉県立小児医療センター副病院長
丸山 務 麻布大学環境保健学部教授・食品衛生調査会食中毒部会長
村上 紀子 女子栄養大学教授
柳川 洋 自治医科大学公衆衛生学教授
渡辺 治雄 国立予防衛生研究所細菌部長

(マニュアル作成当時の役職名であることをご了承下さい。)